2023年11月14日

works 164


写真家 中嶋大助 ツバクロ photographer
 季刊「住む。」83号・2022秋


写真家 中嶋大助 ツバクロ photographer
写真家 中嶋大助 ツバクロ photographer
写真家 中嶋大助 ツバクロ photographer


 季刊「住む。」83号・2022秋

 「9坪の家 - 暮らしを納める家具のような」萩原邸 / スミレアオイハウス・p58-63
 (2008年1月・撮影)
   *25号(2008年刊)の再録
 

「九坪ハウス」と聞いてピンとくる人。
そう、増沢洵氏の最小限住宅。
(以前、コアのあるH氏のすまい撮影させてもらいました。)
いくつかのリメイクがある中、小泉誠さんによる件がこちらの邸宅。
これは言ってみれば、
マディウォーターズをカバーするストーンズみたいな気分?なのかな。
そういや曲のカバーって、何故やたらと興味深いんだろう???
レイチャールズのカバーだとか、チャックベリーのカバーだとか、
ファッツドミノの、レオンラッセルの、ランディニューマンの、キャロルキ・・・はい、
ハナシ逸れました・・・。

15年前の冬晴れ。
住まいの収まりについて作成した手製の図表を広げ、詳細を語る住み主・萩原百合さん(執筆も)。
その物量と熱量に驚嘆しながら、ひたすら傾聴する当時の編集長・山田きみえさん。
通りがかる近所の人が、不思議そうな顔をしている。
(ここのお宅はどういうお宅なの?なんていう声)
コチラはその脇で、撮りながらの実験的な試みをやってみたり。
当時まだデジタル過渡期だったこともあり、
画素数と解像感・デジタル現像の最適解を求め、色々やってましたこの時も。
思い出すと胃が痛い感じもありつつ(笑)、今見るとなかなかにユニーク。

奮闘の甲斐あってか(?)この撮影は、最終的に25号の表紙に結実することになり、
仕上げのカラコレ&グレーディングで連日徹夜コース。
正に、死に物狂いってやつです。
表紙案はA〜Eの5案。デザイナー松平敏之さんからの嬉しい提示。
全てに緊張感ある、エディトリアルを知り抜いたデザイン。
結果、目出度くA案が選ばれる(コレ)。
俯瞰ショットのB案は、お蔵入りが惜しまれた。
(ちなみにp61・4のカットがそのB案でした。)

現在、萩原邸は「スミレアオイハウス」という一棟貸しの宿として、
娘さんたちがオーナーとなり、再生活用されているとのことです(建物の概要)。
コッチに越してきて、再掲載を機に同じ市内だったかと改めて気がつき、
ちょっとの懐かしさと共に、あの時を思い出す。