2018年12月23日

works 109


私家版写真集 antiques-educo
 「武蔵野、みずいろ舎」



 私家版写真集 「武蔵野、みずいろ舎」 写真+装丁デザイン



小平に、そっと佇む喫茶店
お店のオープンに合わせ、写真をご依頼頂きました。

アンティークショップを営む友人から、久しぶりの電話。
武蔵野界隈に越して来つつも、行きそびれていたantiques-educo
今や、武蔵野を代表するアンティークショップになっていて、
他処に代えのきかない、センスの集合知の様相。
その今井氏曰く、
とあるお店の立ち上げで今、内装のスタイリングをやっているという。
「へえ、面白そうだねえ。」
後日、店主さん交え、会おうとなった。

日差しが照りつける夏の日。
近くなったeducoに、チャリon五日市街道。
予定より早く着いちゃったな〜っと、店内に入るも、
それに先んじて、件の店主さん。
お互い、ちょっと虚を突かれた感じで、慌ててのご挨拶。

まっすぐな目の、店主さん。
冴え冴えした感覚と、その奥に見えてくる熱量。
お話を聞かせていただきつつも、
その懸命な佇まいにふれ、
不思議と次第に、
これは素晴らしいセッションになる!という確信しかなくなった。

よく晴れた晩秋。
撮影に入る。

個人のお店ってのは、ひとつひとつがそれぞれに、
店主の眼差しを具現化した、小宇宙で、
それが、どういう間合いを生み出すのかが、
興味深くて、面白いところだったりする。
いち撮影者としても、いち客人としてもね。
「みずいろ舎」と名付けられた、その新しいお店。
店主、海渡さんの世界。
静かに佇んでいるけれど、実に冴え冴えとしている世界。
こちらも静かに、でも鋭敏に、落ち着かせたシャッターを切り進める。

気持ち良く、集中した時を終え、
これからお店で出されていくという、
手網焙煎(店舗用にこれをやるというのは、スゴいな・・・)のコーヒーと、
シナモントースト、バタートーストを頂く。
しびれる焙煎度合と、しっかりとした焙煎豆の管理。
やっぱりコーヒーは、深さに仄かな甘さの世界、としみじみ。
頂きながら、様々なお話を聞かせてもらう。

脇道、回り道、辿り道。
人生って、無数の枝葉と、風雪に耐えた幹でもって幾重にも、
おもしろおかしく、育っていくもんなのかもしれないなあ。

小さな喫茶店、みずいろ舎。
武蔵野の地にしっかりと、でもそっとやさしく、根を張っていく。



 東京都小平市美園町1-12-24
 パールハイツ中沢101