「武蔵野、みずいろ舎」
私家版写真集 「武蔵野、みずいろ舎」 写真+装丁デザイン
小平に、そっと佇む喫茶店。
お店のオープンに合わせ、写真をご依頼頂きました。
アンティークショップを営む友人から、久しぶりの電話。
武蔵野界隈に越して来つつも、行きそびれていたantiques-educo。
今や、武蔵野を代表するアンティークショップになっていて、
他処に代えのきかない、センスの集合知の様相。
その今井氏曰く、
とあるお店の立ち上げで今、内装のスタイリングをやっているという。
「へえ、面白そうだねえ。」
後日、店主さん交え、会おうとなった。
日差しが照りつける夏の日。
近くなったeducoに、チャリon五日市街道。
予定より早く着いちゃったな〜っと、店内に入るも、
それに先んじて、件の店主さん。
お互い、ちょっと虚を突かれた感じで、慌ててのご挨拶。
まっすぐな目の、店主さん。
冴え冴えした感覚と、その奥に見えてくる熱量。
お話を聞かせていただきつつも、
その懸命な佇まいにふれ、
不思議と次第に、
これは素晴らしいセッションになる!という確信しかなくなった。
よく晴れた晩秋。
撮影に入る。
個人のお店ってのは、ひとつひとつがそれぞれに、
店主の眼差しを具現化した、小宇宙で、
それが、どういう間合いを生み出すのかが、
興味深くて、面白いところだったりする。
いち撮影者としても、いち客人としてもね。
「みずいろ舎」と名付けられた、その新しいお店。
店主、海渡さんの世界。
静かに佇んでいるけれど、実に冴え冴えとしている世界。
こちらも静かに、でも鋭敏に、落ち着かせたシャッターを切り進める。
気持ち良く、集中した時を終え、
これからお店で出されていくという、
手網焙煎(店舗用にこれをやるというのは、スゴいな・・・)のコーヒーと、
シナモントースト、バタートーストを頂く。
しびれる焙煎度合と、しっかりとした焙煎豆の管理。
やっぱりコーヒーは、深さに仄かな甘さの世界、としみじみ。
頂きながら、様々なお話を聞かせてもらう。
脇道、回り道、辿り道。
人生って、無数の枝葉と、風雪に耐えた幹でもって幾重にも、
おもしろおかしく、育っていくもんなのかもしれないなあ。
小さな喫茶店、みずいろ舎。
武蔵野の地にしっかりと、でもそっとやさしく、根を張っていく。
東京都小平市美園町1-12-24
パールハイツ中沢101