2014年4月9日

Dreams, Schemes and Themes 夢と企てと主題 - Bob Dylan


ボブ・ディラン 来日公演




 江東区台場、4月7日夕刻。



ものの哀れを誘う、人工島。
脇道をぶらぶらと。
ここはちょっと道を外れると、人がいないんだよね、実に。
暗喩的?
この冷ややかな感じは案外、嫌いじゃなかったりする。
露骨だよね、この感じ。
どんな気がする?って、そりゃ今日は、
無宿者の、転がる石の如く気分。ライヴ前の短い散歩。



 Bob Dylan Never Ending Tour Zepp DiverCity Tokyo Japan 4.7 Mon. 2014



ボブ・ディラン来日公演。

いわゆる信者、じゃない自分としては、
1965-66年のディラン以外に、それほど心掴まれてなかったんだけど。

時折、トリビュートものとか、ウィルベリーズとかで、
リラックスして演るブルースを聴いて、おや?
「Theme TIme Radio Hour」で、
ルーツミュージックを、嬉々として紹介しているのを聴いて、おや!?
「Love & Theft」で、はは!
「Tempest」、うわ、これはっ!!

結論。
来たら、ライブ行くしか無いなこれは!!!
と思ったのが昨年。
で、まさかの来日アナウンス、しかもzepp。ありがたい!

彼については、いろいろな人がいろいろな事を言う。
ウォーホルもジョン・レノンも、そのヤケに醒めた佇まいにヤラレたんだろう。
ボクとしては、real Blues singer な Dylan が好きで、
彼とビーフハートが、ホワイトブルースの最高峰だと思っている。
あまりカントリーやフォークに拠りすぎず、
ブルースと50sあたりのR&Bをベースにグルーヴを展開するとき、
あの、枯れた歌声が美しく響く。

表現者の中で、すごく稀なことだけど、
ある時点で、「ああ、この人は黄金律を得たんだなあ」
と感じる人が、少しだけいる。
筆頭は、60年代以降のサラ・ヴォーン。
あれは、殆ど温泉(笑)。

2000年代のディランにも、それを感じる。

今回、Tempestの曲が結構演奏されて、うれしかったなあ。
というより、バンドサウンドのアレンジが、
どの曲もTempest寄りになっていたのが、これまたオイシい。
メンバーそれぞれのクオリティーが高く、テイストある演奏、
シャレオツな佇まい、酔いしれました。
ジャンプブルース「Duquesne Whistle」、バンドもボクら観客もノリノリ。
幸い、最前列ブロックの中に入れたので、
ステージまで眼と鼻の先、ディランとメンバー、表情もよく見える。
メンバーは必死にディランを眼で追いながら、グルーヴを生み、
ディランは素知らぬ風で、調子っぱずれなピアノを叩き、涼しい顔をしている。
ペダルスティール奏者は、それを笑いながら、
ギタリストは、探るような目つきで、
ベーシストは、じっと顔色を窺い、
一斉に落としどころを探る様が、緊張感を煽る。
客席もグワーッと盛り上がり、バンドと歓声、一緒くたになっていく。
ディランは右手をマイクスタンド、左手を軽く腰にあて、
薄ら笑い。
思わず背筋がざわざわ〜、うわーっ!となった。

終演直前、すぐ目の前、最前列のお客さんに突如サプライズ。
なんとディランがしゃがみ込み、サイン。
「写真撮れよ」という風に、ポーズまでしてみせる。
周りは騒然、興奮のるつぼ。
終演後、その幸運なお客さん、
貰ったサイン(ディラン表紙の、ローリングストーン誌だったみたい?)
を誇らしげに掲げる。おおー、おめでとう!

終わってみると、
周りから「今日は、これまでで最高」
との声が、チラホラ。
休み明けの公演狙ったのは、正解だったぜ。
音自体のバランスも良く、クリアーに聞こえたし、
このままLive In Japanのライヴ盤、出してほしい位だな〜と、
高揚を夜風でさましつつ、東京テレポート駅へ。



  「She Belongs to Me / Bob Dylan」

高校生のとき、初めて輸入盤屋で買ったCD、
「Bringing It All Back Home」でした。





「bobdylan.com」
April 7, 2014 Zepp DiverCityTokyo, Japan SET LIST

公式サイト。当日のセットリスト。

「HIGH-HOPES管理人のひとりごと」
菅野ヘッケルさん・4月7日Zepp DiverCityTokyoライヴレポート
ライヴ詳細レポートされています。